禅僧・藤田一照さんのご紹介をいただき、鎌倉の名刹・円覚寺さんで揺腕法の指導をさせていただきました。
当日(9月24日)はようやく秋らしい空気のなか、20人ほどの雲水さんと、横田南嶺老師、藤田一照さん、東京のクラスにも参加いただいているKさん、関係者の皆さんと一緒に腕震、長尺を中心に予定の3時間をオーバーしてたっぷり腕を振ることができました。
今回指導させていただくにあたって、特に意識したのは腕震でした。
腕震は中指を中心に腕をドリルのように回転させるというシンプルなものですが、指先から体までに繋がりを感じるためには一番効率の良い方法です。
今回はその繋がりを感じていただけるように、若い雲水さんが多かったこともあり、じっくり、全身の力を中指先に集中して、「壁を穴を開けるつもりで回してください」とお願いして行いました。
また始めるにあたっては、ただ腕を伸ばすのではなく、空手の三戦のように腋をこすり、ひねりながら腕を伸ばしていただき、通りやすい腕を作ってから行ったところ、如実に変化を感じていただけたようで手応えを感じました。
この「手応えを感じる」ことが、揺腕法で伝えるにあたっての難所で、ともすると空気をかき回しているだけになってしまうところです。
『揺腕法』の書籍でも紹介していますが、空気をいくらかき回しても、そこに力や変化を発生させることは難しいです。ではどうするか? そこで大事になるのは、自分の体のなかに動きを邪魔する質量を発生させることです。
本書のなかでは「水の入ったコップをかき混ぜることで渦(力)を発生させる」と書いていますが、この場合、中指を伸ばそうとする腕の力=水にあたります。
まっすぐ伸ばそうという力に抗って腕を回転させることで、ただ腕を回すのではない力、内圧が発生し、そのなかで回転運動を行うことで、渦的な力のラインが腕をのなかに生まれ指先から体までを繋げる腕中面が生まれるわけです。
そのためには早く回転させるよりも、まずゆっくり、ねっとりと中指壁に穴を開けるを軸にした回転を念入りに行う方が効率が良いのです。
さて、当日はリクエストにあった長尺、超長尺を使った多人数での揺腕法もたっぷり行いました。教室でもそうですが、やはり多人数の揺腕法は場の雰囲気が一気に変わり、それまでもやもやした感じの方も、「あれ⁉️」という表情になり、感想ををシェアしていただくと、「体のが熱くなりました」「長尺を挟んでいる指の感覚が消えました!」など色々な感想が返ってくるのが面白く、動きや指先の形も見違えるように良くなり「やっぱり揺腕は多人数が大事だな」という思いを新たにしました。
また3人で行う超長尺では、いつものように先頭(運転手)、真ん中(乗客)、後ろ(車掌)と、ポジションを変えて行っていただいたのですが、教室では大人気の乗客が意外に不人気で一番人気は車掌さんだったことです。この辺りは、個人のキャラクターもあるのはもちろんですが、24時間寝食を共にする雲水さんたちならではのなにかがあるようにも思え大変興味深かったです。
他にもスーパーボールや紙風船を使った稽古なども行い、3時間を超える長丁場の稽古となりましたが、無事終了することができました。
改めましてこうした機会を頂けた、横田南嶺老師、藤田一照さん、雲水さん、関係者の皆さん、そして小用先生に感謝いたします。
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